うなぎは大好物である。
先日、プレスリリースを受け取った。私が好きな鰻屋さんの一つ、長野県岡谷市の「観光荘」さんでオリジナルの鰻の販売を開始するというものだった。「観光荘」さんの鰻に対するこだわりは以前から知ってはいたが、ついにオリジナルの鰻を作ってしまった!
それを聞いたら行かないわけにはいかない。ちょうど山梨県の仕事に合わせて、岡谷に立ち寄り観光荘さんをお伺いする計画を立てる。コロナ禍のためか、空席が目立つ。こんなに空いている観光荘さんは見たことが無い。
テーブル上にはメニューのファイルが並んでいるのだが、またメニューのバリエーションが増えたようだ。来るたびに新しいメニューが登場している、メニュー開発からもお客さんを楽しませてやろうという気が伝わってくる。
今回のお目当てはこれ。「シルクうなぎ」。観光荘三代目の宮澤社長の岡谷らしい鰻を作りたいという思いが始まりのようだ。「観光荘」のある岡谷市は全国でも一人あたりの鰻の消費量が多いことから岡谷を代表する食文化となっている。鰻の街岡谷として、冬の土用に「寒の土用の丑」の日を制定し寒の土用うなぎ祭りなども実施している。
そこで岡谷らしい鰻は出来ないものかと考え、古くは絹糸産業で繁栄した岡谷。養蚕は現在でも全国では少ない製紙工場があるのだそうだ。シルク×鰻。蚕のさなぎは鯉などの飼料とされていた、古くは鰻の養殖にも用いられていたことから愛知県豊橋市の養鰻業「夏目商店」さんに相談するも鰻屋さんが生産者さんに直接お願いするという前例がなかったそうだが、両者、リスクを抱えながらオリジナル鰻の開発に一歩を踏み出した。岡谷の製糸業者さんや製粉業者さんの協力もとりつけ、豊橋の夏目商店さんで養殖が始まった。そしてシルク鰻は順調に育ちコロナ禍の2020年10月に池上げとなり念願のシルク鰻が完成。観光荘三代目宮澤社長の発想と行動力はスゴイ。お話をお聞きしているだけでもこちらもワクワクしてくる。
シルク鰻の白焼をいただくことにする。白焼きはメニューにはないが店員さんに声掛けをすれば出来るのだそうだ。見た目の印象は肉厚でデカい。まだ完成したばかりなので鰻のサイズの調整などは今後の課題なのだそうだ、現在は3.5pと4pサイズでの展開なのだそうだ。
焼きは観光荘の蒸さない地焼き。皮をパリッと仕上げてある。鰻の身からは餌由来の臭みなどは感じられない、鰻は川魚ですよと身が主張してくる感じだ。皮下の脂のノリなど存分にあるのだが、食べた時の脂感が控えめであっさりとした食感だ。サッパリとふわっとふっくらした食感だ。これはシンプルに塩をちょっとつけていただくのが旨い。
そして「シルクうなぎ重」をいただく。蒸さない地焼の鰻に観光荘のタレでパリッと焼かれた蒲焼だ。肉厚の身はややプリッとした食感で、フワッと柔らかく、白焼きと同じく皮下の脂のノリはたっぷりあるのだが、くどくないあっさりとした蒲焼に仕上がっている。
肉厚プリッとあっさり上品なシルク鰻なのでございます。ただ「観光荘」さんのガツンとくるパワフルな蒲焼が好きな方にはちょっと物足りなさを感じてしまうかもしれないが、ものは試しで一度いただいてみるとよいだろう。鰻の素材でこんなに変わるということが分かるだろう。
「観光荘」さんでは定番の「わさびのたれ」。この調合がなんとも絶妙で蒲焼の味を引き立てるタレなのだ。観光荘三代目宮澤社長のチャレンジはまだ始まったばかりだという、もっともっとシルク鰻もブラッシュアップさせてお客様に喜んでいただきたいと語る。来るたびに新しい発見がある「観光荘」岡谷の鰻文化をけん引していくお店であることは間違いない。全国的にも鰻屋さんがオリジナルの鰻を手掛けるという試みは初めてだろう、今後も新しいチャレンジを楽しみに応援していきたい。
探訪日:2021.01
「観光荘」
所在地:長野県岡谷市川岸東5-18-14
営業時間:11:00~14:00、17:00~20:00
定休日:木曜日
電話:050-5890-3380
・お店のホームページ
http://www.kankohso.co.jp/
・食べログでのお店の詳細情報。
>>いつもご覧いただき、感謝申し上げます。
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