うなぎは大好物である。
朝顔市で有名な入谷の鬼子母神。「のだや」さんは、テレビや雑誌などでも多数取り上げられている。
川魚を主とする日本料理調理のスペシャリストの団体「野田屋東庖会」が前身。1868年(明治元)創業のうなぎ職人を中心とした調理師会「野田屋東庖会」1978年(昭和53年)「野田屋東庖会」の直営店を「のだや」の屋号で根岸に開業、一時休業の後、2013年2月入谷鬼子母神門前にて再開業した。
最寄はメトロ日比谷線入谷駅で徒歩1分ほど。鶯谷駅からも歩いて5分ほどだ。言問通りを挟んだ向かいが入谷鬼子母神だ。純白に大きくのだやと書かれた暖簾をくぐる。女将さんが出迎えてくれる。奥の部屋に案内される。
和風モダンな内装に静かにスロージャズが流れる。メニューは、写真も入っていて説明も書いてあり分かりやすく、見ていて飽きない。
一品料理のページに目が行くオリジナルのうなぎ創作メニューが並ぶ。うまき、うざくといった定番メニューはもちろんだが「うなぎとクリームチーズ酒盗あえ」1150円「名物うなぎの酢〆うら梅造り」1650円が気になる。
「うなぎとクリームチーズの酒盗あえ」をお願いする。サラダの上にうなぎ、クリームチーズそして酒盗。旨味のある鰻にクリームチーズが口の中で広がり酒盗の横からのパンチがよく合う。たしかに鰻屋では野菜が不足するのだ。
メニューにサラダがあるのはありがたい。
これは、ビールじゃないでしょ。酒類のメニューも充実している。日本酒はもちろん、焼酎・ワインまでが揃う。特に日本酒はこだわりの品揃え女将さんによると、うなぎに合う酒を自分たちでセレクトしているのだそうだ。お好みを伝えて相談するのがよさそうだ。青森の陸奥八仙をお願いする。
そして「名物うなぎの酢〆うら梅造り」生の鰻を秘伝の酢とタレで〆ているのだそうだ。野田屋東庖会の紋である裏梅の紋を皿に沿えて見た目はフレンチ。山葵を付けてもよし、梅ソースにサッとつけてもよし。鰻の旨味が凝縮された一品だ。
ここで、日本酒をお代わり。和歌山の黒牛。
うなぎ創作一品料理が凄い。9月から復活したという、うなぎ点心。うなぎ焼売とうなぎ春巻きがあるのだがうなぎ100%といううなぎ焼売をお願いする。
うなぎ100の焼売とは。肉の代わりの鰻の肉を使っているグリーンピースの代わりに鰻の短冊。なんとも贅沢な焼売だ。薄めの皮とも相性がよく上等な脂ののった白身魚といった食感。魚の脂なのであっさりした感じだ。そのまま食べても旨味が濃厚なのだが、お好みで醤油、卓上に置かれているうなぎのタレをつけてもよし。
うな重で締めくくろうか。このうな重のラインナップも豊富だ。テレビなどでよく見るのが、うな肝があるときだけの限定品「きょうすいうな太郎」だ。共水(きょうすい)うなぎとは、大井川の幻のブランド鰻で養殖工程で天然に近い四季を作り出し低ストレスで飼育することで、うなぎの持つ本来の甘みをうなぎ自身の力で得ることのできるようにしているのだそうだ。飼育には二年かかる。身に甘みがあり、脂っぽくなくねっとりした食感が特徴的だ。
ひつまぶしも捨てがたい。蒸さない地焼うなぎで秘伝のタレと岩塩でカリカリに焼き上げたものがある。迷う。
共水うなぎの白焼きと三河一色産のうな重の組み合わせの「のだや特選御膳」もいい。鰻と穴子の相乗り重「いとこ重」も気になる。
いやいや、ここは江戸時代からの匠の伝統技をシンプルにストレートに感じたい。三河一色産の新仔のなかでも厳選された活鰻を特大サイズ一匹を使用した「特選うぐいす」これに決める。関東風の蒲焼に合ったうなぎを共同開発「養鰻の匠」と「うなぎ調理の匠」両者が一体となって作り上げた「匠のうなぎ」と言えるのだや流「万遍返し」で焼き上げた、焦げ目のないふっくらしたうなぎ。
「特選うぐいす」登場。重から鰻がはみ出るため蓋が閉まらない。綺麗な飴色?うな重だ、たしかに焦げ目が無い。一見、焼が甘いのでは思い一口食べてみる。いやいや、そんなことはなく、ふっくらトロトロの食感だ。
皮は薄くトロッと柔らかく肉厚の身はフワッとトロッと脂のノリも良く感じられるがくどすぎない、あっさりすぎないがボリューム感もあり
タレはほんのり醤油系のあっさりサラッとしたタレ。鰻の甘み旨味を引き出すためのタレだ。
山形「つや姫」を使用しているというご飯はやや硬めに炊かれトロトロの蒲焼との相性もよい。
店主をはじめ女将さんスタッフに鰻愛とプロ意識を感じる。帰り際に、ラウンジルームをのぞかせてもらった。
探訪日:2015.09
「入谷鬼子母神門前のだや」
所在地:東京都台東区下谷2-3-1
営業時間:11:00~14:00、17:30~20:00
定休日:月曜日
電話:050-5869-5137
・お店のホームページ
http://www.at-ml.jp/?in=67764/
・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131104/13152282/
コメント
[…] ・三河一色産 うなぎの兼光 匠の鰻鰻養殖の歴史も古い愛知県西尾市。河川水を利用した「養鰻専用水道」が整備され、矢作古川の清浄な河川水を養鰻用水として利用することで、鰻が本来生息している天然河川に近い環境で育てることができ、品質向上を目指すべく養殖技術の向上、オリジナルの配合飼料の研究に力を入れている。その前に、「入谷鬼子母神門前のだや」江部当主による鰻創作料理を楽しむ。「入谷鬼子母神門前のだや」についての過去の記事ご参照。 […]