うなぎ屋さん探訪214~東京都新宿区「すず金」さん【閉店】

うなぎは大好物である。

創業1877年(明治10年)という、東京メトロ東西線早稲田駅近くのすず金さんへ行く。
老舗と言うと古い建物を想像してしまいがちだが、鉄筋5階建てのビルの一階にある。

入口を入ると左端にテーブル席が4卓ほど、そのままの間口の広さで奥へと続く細長い店内。モダン和風の店内の奥にカウンター席4席と厨房、そしてテーブル席6卓がある。

昼時、席はほぼ満席、学生の街なのだが年齢層は高い。木製の椅子には白い綿のカバー、ちょっとしたレトロ感だ。割箸とお茶が運ばれる。箸袋の裏を見ると「我輩もかつて食した、ここの蒲焼」とある。夏目漱石も食したという老舗の蒲焼なのでございます。
交差点を挟んだ向かいに夏目漱石の生誕地の碑があり、夏目坂通りは夏目漱石のゆかりの地なのである。

テーブル周りにメニューを探すが見当たらない。壁の張り紙を見つける、なるほどシンプルなメニューだ。舌代として、うな重は1700円と2200円とある。一昔前の値段だなあ。
迷わずうな重2200円をお願いする。おひとり様の時には、周りのお客さんの話を盗み聞きするのが好きだ。我ながら悪趣味だと思うのだが、面白いからやめられない。老舗の鰻屋などでは、鰻の薀蓄を語っていることが多い。ここでは皇室の話とか、海外旅行の話とか。

待つこと15分、うな重登場。皮はやや厚め、グニッとしたゼラチン質の感触、柔らかい。
なかなか脂のノリっている皮だ。身はやや厚め、フワッと柔らかい。タレは醤油系あっさり控え目、うなぎの風味と合う。ごはんはやや硬めで好み、量は多め。皮目のジューシーさと控え目なタレとうなぎの風味、そしてご飯とのバランスがよい。

うな重を頼むと、吸い物はつくが、肝吸いは別料金だったようだ。壁のメニューをよく見れば肝吸い100円とあった。

ちょっと前まではこの値段でこのボリュームはスタンダードに近かったが、うなぎ高騰後でもこの値段でこのボリューム感のあるうな重をいただけるのはとてもありがたい。庶民の味方的老舗鰻屋さんなのでございます。

探訪日:2013.05

「すず金」残念ながら【閉店】
所在地:東京都新宿区馬場下町61
定休日:火曜日

・お店のホームページ

・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130504/13010886/

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