うなぎは大好物である。
関ヶ原以前の「鈴鹿家記」1399年(応永6年)に文献に初めて「蒲焼」という言葉が登場する。「昔は鰻を長きまま丸で串にさして塩を付け焼きたるなり、その形川辺などの生たる蒲の花の形によく似たる故にかばやきと云いしなり・・・。」うなぎを長いままを丸々1匹串に刺し、当時はまだ醤油は存在していないので塩をつけて焼いて食べるというスタイルだ。
蒲焼の語源についても諸説ある、蒲の穂に由来するという説、裂かずに丸ごと口から串を刺し焼いた姿が蒲の穂に似ているという説。または、焼いた時の色や形状が樺(カバノキ)の皮に似ているからとする樺の木に由来するものだったり、焼いている香りが早く伝わることからついた「香疾焼」(かばやき)に由来するという説など諸説ある。
日本橋の「いづもや 別館」で蒲の穂の由来するという蒲焼き調理方法を再現したという、
蒲の穂焼きというのがあると聞いていってみることにする。
蒲の穂焼きを食べるには、前日までに予約が必要で二人前からとなる。うなぎ好き仲間を誘い、神田駅南口で待ち合わせ、歩いて8分ほど。
いずもや本館に到着、本店の創業は1946年(昭和21年)、テーブル席を予約したので本館の裏手の別館に案内される。本館は座敷席でサービス料が別途必要、テーブル席の別館ではサービス料はない。東京都中央区日本橋「いづもや 別館」さんを探訪する。テーブル5卓ほどの小ぢんまりとした店内だ。
予約しておいたので、テーブルにはお通しが用意されている。お通しには、ほいたるいか、菜の花、そらまめなど季節の食材が入る。ビールと、うなぎの天ぷら1575円、肝焼き520円、生醤油焼き1680円をお願いする。とりあえず、蒲の穂焼2100円は後のお楽しみとしておく。
うなぎの天ぷらは、短冊状のうなぎを天ぷらにしてある。衣はサクッと中はフワッと柔らかい。
肝焼きは、なかなか大ぶりの肝が登場する。控え目なタレでほのかな苦みとのバランスもよい。やはり日本酒が欲しくなってくる、豊富なラインナップから久保田千寿をお願いする。
生醤油焼はいずもやのオリジナルメニューとのこと。鰻の料理法は他に無いだろうか、鰻そのものを、より美味しく召し上がっていただくためにどうしたらいいのかを模索し、日本古来の調味料である生醤油にたどり着いたのだそうだ。蒸し上がった鰻に、生醤油のみをまとわせながら焼くというシンプル調理だ。見た目は味醂を使っていないのでテリはない。フワッと柔らかな身に、うなぎのコクと生醤油のバランスがなかなかよい。あっさりさっぱりしているが、うなぎの濃厚さも感じるおもしろい食べ方だ。
蒲の穂焼きが登場。竹串にまるのままのうなぎを串刺しにしてある。こういう食べ方はなかなかできない。なるほど蒲の穂に形が似ている。蒲の穂にかぶりつくと、皮はパリッと身は柔らかく濃厚ジューシー。調味料も塩のみ、古来のシンプル料理だ。
骨もそのまま串に刺してあるので、焼き魚を食べるようにほぐしながらのほうがよいようだ。現在の蒲焼の味が確立してきたのは江戸時代末期、それまでいろいろ試行錯誤を重ねてきたのだろうと想像しながらいただく。
江戸時代末期に確立したうなぎの蒲焼を伝承する鰻屋さんが多い中、あたらしいうなぎ料理に挑戦するいづもやさんの姿勢には今後の楽しみを感じる。もちろん、いずもやさんにも伝統的な蒲焼もある。
探訪日:2013.04
「いづもや 別館」
所在地:東京都中央区日本橋本石町3-3-2
営業時間:11:00~14:00、17:00~22:00
定休日:日・祝日
電話:03-3241-3412
・お店のホームページ
https://www.idumoya.com/
・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13040225/
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