うなぎは大好物である。
秋葉原から電気街方面に歩く。右の耳からJ-POPが入ってくる。AKBなのかモモクロなのかおじさんには判別できない。神田明神下交差点を目差す。
商業ビル群のなかに「御蒲焼」と書かれた木製看板と、なんとも風情を感じる建物が現れる。創業江戸末期1805年(文化2年)明神下神田川さんだ。1852年(嘉永5年)の江戸前大蒲焼番付表では、西前頭13枚目に登場する人気店だったようだ。東京都千代田区外神田「明神下 神田川 本店」さんを探訪する。
高級感溢れる入口は、入るにはちょいと勇気がいる。ちらっと見える暖簾の奥では
団体さんが入っていくところのようだ。近くの神田明神で新年の祈願を終えた団体さんが
会食するところのようだ。
入口は込み合っている。神田明神下交差点付近をうろうろする。落ち着いたところで暖簾をくぐる。若くかわいらしい仲居さんに迎えられる。「ご予約は?・・・」予約はしていない、一人だと伝える。「お時間かかりますが・・・」40分ほど時間をくださいとのこと。
待つことは全く苦ではない。
履物を預け、年期のはいった木製の廊下を案内される。二重の襖を開け、松の間に案内される。2人用テーブル3卓と中庭が見渡せる、カウンター席2席。お好きなところにというので、中庭の見えるカウンター席にする。2メートル以上ある一枚木のカウンターだ。ガラス窓の木の質感、使用感、この風合いはだそうと思ってできるものではない。赤茶系で統一されたテーブルとレトロなライティングは温かみがある。
箸と温かいおしぼり、そしてメニューを持ってきてくれる。うな重のグレードで鰻の大きさと重箱の大きさが違うとのこと。人気の食べ方を聞いてみた。男性は大きなお重を好んで召し上がるのだそうだ。また、お酒と白焼き肝焼きなど、いろいろ楽しむ方も多いそうだ。昼時なのでうな重大3800円をお願いする。吸い物はつかないので、赤だしも一緒にお願いする。
中庭を眺めながら待つ。松の間に一人、静かな時が流れる。隣の個室では鰻のウンチクに花が咲いている。面白い。仲居さんが古い木製廊下を走る音が聞こえる、忙しそうだ。
宮川曼魚でも読みながら待つ。
待つこと45分、うな重登場。皮は柔らか、身はやや厚め。脂のノリも程よく、フワッとトロッとしている。タレはキリッとした醤油系辛め。濃すぎないタレと鰻がよく合っている。ご飯の炊き加減はやや柔らかめながら、ちょうど良い。タレの瓶も傍に置いてくれるのだが、ご飯にもたれがよく染みている。ガツガツ食べてしまう。
やや濃いめの赤だしにはナメコが入る。漬物には奈良漬、これ好きだなあ。山椒は、蒲焼の一部に少しかけて風味を楽しむ。
都会の真ん中にいることを忘れてしまうような空間。風情ある、なるほど納得のうな重でございます。
松の間に通されるときに、相席になることもあると言われたのだが、結局、一人で松の間でのんびりをさせてもらった。お会計はテーブルにある黒いボタンで仲居さんを呼び、席会計。サービス料込5082円。けして安くはないが、普段使いではないうな重が楽しめる。
会計時に仲居さんから「つまらないものですが」と、お年賀をいただく。1704年(宝永元年)創業「猿屋の楊枝」江戸名物の一つだ。私は常連でもなんでもないのに、こういうのが粋だねえ。こうしたちょっとした気配りもなかなかのお店だ。
探訪日:2013.01
「明神下 神田川 本店」
所在地:東京都千代田区外神田2-5-11
営業時間:11:30~14:30、17:00~21:00
定休日:月・日・祝日
電話:03-3251-5031
・お店のホームページ
・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13000346/
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