うなぎ屋さん探訪300~台東区根岸「根ぎし宮川」

うなぎは大好物である。

鶯谷駅南口を出て根岸方面へ歩く。かつては下谷根岸町と呼ばれた旧花街である。花街のとしては下谷の方が古く根岸は大正10年に三業地としての許可を得ている。当時は東京の東側が繁華街であった。上野駅の東側は仏具店と店二階で食べさせるうなぎ屋がたくさんあったのだそうだ。
このころの事情はこの本。宮川曼魚「深川のうなぎ」(住吉書店1953年)を読むとよくわかる。この界隈は古い街並みも一部残っており正岡子規が生涯の晩年を過ごした家「子規庵」や下谷まで足を延ばせば、一葉記念館などもあるので東京レトロ文学散策も面白いかもしれない。

蒲焼割烹根ぎし宮川は初代が「つきじ宮川本廛」で修業し1941年(昭和16年)に暖簾分けとして料亭の街根岸で創業した。当時は芸者を座敷に上げて楽しむお客で賑わったと言う。2001年から鶯谷駅から徒歩3分の現在の場所で蒲焼割烹 根岸 宮川として営業を続けている。時代の流れとともに粋な遊びは廃れてくが上野から浅草の間には寺がたくさんあることもあり現在は冠婚葬祭や会社の懇親会などで、常連のお客様に利用されているとのこと。現在は三代目の若い店主。

店内は一階席はテーブル席8卓ほど、これも
お客様が高齢になりテーブルのほうが楽だという配慮なのだそうだ。二階には座敷席もある。和風モダンの店内は静かで落ち着く。メニューは、うな重2910円より。3450円、3950円、4530円のラインナップがある。価格によって鰻の大きさが違うとのこと。他には、うまき・うなざく・肝焼きの鰻料理をはじめ鰻中心のコース料理や幕の内といった割烹メニューもある。

三代目店主とお話をさせていただきながら待つこと20分、うな重登場。皮は薄く程よい脂ののり。身は普通の厚みながら、フワッとトロッとする。身の表面をサクッと仕上げてあるのでサクッとフワッとした食感が楽しめる。

タレは辛め醤油系、ややコクのあるタレだ。蒲焼とタレ、ご飯のバランスが良い。くどすぎず、あっさりしすぎなバランスの良いうな重だ。

山椒の入れ物の蓋を開けると、山椒の香りが広がる。山椒も時期によって産地を替えるのだそうだ。今回は和歌山産のオリジナルでブレンドしているとのこと。しっかりしたお出汁の肝吸いにはプリッとした食感のやや大ぶりの肝が入る。

三代目店主とお話をさせていただき印象に残ったのは、うなぎを食べる文化を守りたい!という店主の強いメッセージ。業界を盛り上げるためあちこちでプレゼンを行っているのだそうだ。そこで、年1度召し上がる方に年2回召し上がっていただく運動をしてるという。

近年の鰻をとりまく環境を考えると、このままだとうなぎを食べる文化が衰退していってしまう。という危機感を強く持つようになったのだそうだ。そして、少しでも多くの方うなぎを食べて頂きたい弊社でなくても良いんです、少しでもいなぎを食べていただける方が増えれば、それで十分なのだと。うなぎ食文化を守ろう。うなぎは専門店で食べましょう。自分もそんなメッセージを伝えていきたいと思う。

探訪日:2014.12

「根ぎし宮川」
所在地:東京都台東区根岸1-1-35
定休日:火曜日

・お店のホームページ

・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131104/13031826/

コメント

  1. […] 以前の「蒲焼割烹 根ぎし 宮川」のブログ記事 […]

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