うなぎ屋さん探訪451~100年の魂宿る建物でいただく桐生の超老舗「泉新」

うなぎは大好物である。

古い街のたたずまいレトロな雰囲気の街並みが好きだ。いまもなお古い街並みが残る群馬県桐生市の街を散歩したい。そして美味い鰻もいただきたい。

JR両毛線の桐生駅を降り、重伝建エリア方面に向かって歩く。当時は織物の街として大変賑わっていたようだ。重伝建エリアとは文化庁が定める重要伝統的建造物群保存地区のことだ。桐生の街は駅周辺から繁栄していったのではない、1350年(観応年間)ごろ北野天満宮の御分霊を合祀したといわれる桐生天満宮を中心に本町1丁目から6丁目と南に向かって成り立っている。

この周辺はあまり戦災を受けていないらしいが1898年(明治31年)に3丁目の北端を出火元とする大火で地域一帯が消失してしまったらしい。これから伺う「泉新」さんは1829年(天保元年)の創業なので開店当時の建物はこの大火で焼失してしまった。天保年間というと葛飾北斎の「富嶽三十六景」が発表されたり天保の大飢饉から水野忠邦が老中となり、天保の改革を行った頃だったりする。なかなか想像が追いつかない。

泉新の創業者は越後出身で江戸後期に横浜でうなぎ屋をしていたところ桐生の生糸を扱う大富豪が、そのうなぎ屋の味に感動し「是非、桐生に」と懇願され天保元年に現地に「泉屋新蔵」が開業した。現在ではなんと7代目となる御夫婦で営業をしている。

さて明治時代建築の引き戸を開けて店内に入ると、履物を脱ぐスタイルだ。下駄箱に履物をしまい店内に案内される。案内されたのは仕切りで囲まれた半個室、掘りごたつ席なので脚も楽である。とても100年たっているとは思えない綺麗に手入れがされ大切にされている。

冬場は乾燥している、とりあえず瓶ビールをお願いして喉を潤す。何にしますかと言われるが、メニューが見当たらない。メニューはうな重のみで、鰻の質と量は同じ、ご飯の盛り加減でグレードが変わる。うな重をお願いし、少しでも大きな鰻が来ますようにと願いながらご飯を大盛りでお願いする。

待つこと15分、うな重登場。
重箱の蓋を開けた時の香りが良い、この香りだけでビールコップ一杯が飲めそうだ。身の厚みもありトロッとトロける柔らかさ。

タレはキリッとした醤油香るタレだが味醂と清酒でやや甘めに仕上げてあるが濃すぎず。ご飯の炊き加減もかためで好みだ。タレは控えめにかけてあり鰻の素材の風味も楽しめる、タレが足りない人はテーブル上にタレ瓶が置いてあるのでお好みで追加するとよいだろう。

骨せんべいをお土産にさせていただいたが、パリッとサクッと良質の脂でよく揚がっている。

帰り際に7代目にちょっとお会いできた。行政から建物を重要文化財にという話もあるようだが、自由に改装などできなくなってしまうため残念ながらお断りをさせていただいているそうだ。7代続いた老舗を維持していくことは並大抵の努力では無いだろう、7代目店主と美人女将、お二人のお顔を見ればその覚悟が伝わってくる。レトロ街桐生散歩の時には100年の建物でうなぎで一杯やってみてはいかがでしょうか?

探訪日:2020.12

「泉新」
所在地:群馬県桐生市本町3-3-2
定休日:月曜・第3火曜

・お店のホームページ
・食べログでのお店の詳細情報。

泉新うなぎ / 西桐生駅桐生駅
昼総合点★★★★☆ 4.0

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