うなぎは大好物である。
寒い冬の雨の中、浅草吾妻橋を渡る。東武線浅草駅からは10分はかからない、鰻禅へ。
※現在は近所に移転営業している。移転前の記事です。
東京都墨田区「鰻禅」さんを探訪する。
藍の暖簾をくぐると、店主と女将さんが迎えてくれる。カウンター6席、2人テーブル2卓
奥には小上がり1卓がある。暖房のよくあたるテーブル席に座る。
メニューはシンプル、うな重上2500円より、特上3,000円、二段重5500円とある。どれも肝吸い付。グレードでうなぎの大きさが違うとのこと。うな重特上をお願いする。ちょっとお時間かかりますけどと、女将さん。おとなしく待つことにする。
調理場には立て場がある。店内を眺めながら待つ。昭和レトロな雰囲気の店内の壁には、
サインの入った色紙なども飾られている。日本酒の品ぞろえが渋い、埼玉蓮田の地酒、神亀とひこ孫、佐久の地酒、牧水が並ぶ、なんともマニアック。※現在は移転し内装もリニューアルされています。
おう、と言いながらお客さんが入ってきた。下町の挨拶は「おう」なのだ。どうやら近所の社長さんのようだ。香ばしい香りがしてきた、もうすぐだ。
待つこと30分、うな重登場。皮は薄くて柔らかい、とろけるような皮だ。身はやや厚め、フワッとトロッとしている、表面ややサクッと仕上げてある。程よい脂ののり、くどすぎずあっさり過ぎず。タレはコクのある醤油系濃いめ。身にもタレが染み込んでいる。ご飯とのバランスも良い。
プリッとした肝入りの肝吸い。東京下町系、醤油のかかった漬物。ご飯の量はやや少なめだが、蒲焼との量のバランスがちょうど良い。
重箱の蓋に宮川の文字がはいっている。ちょっと気になったので店主にお聞きした。
店主が最後に修行した店が新宿十二社宮川だったとのこと。新宿の十二社とは現在の新宿中央公園の西側、新宿4丁目あたりだ、戦前は花街で賑わったところのようだ。そして、店主が浅草で独立出店する際に新しく重箱を購入するのは金がかかるからと、宮川の重箱を頂いたのだそうだ。綺麗に磨かれていたので気が付かなかったが、よくみるとたしかに、年季の入った重箱だ。
この地に独立して店を出した時、お客さんからタレが辛すぎると、言われたのだそうだ。
宮川の流れなのだからタレは醤油系の辛口濃いめになる。そして、タレに隠し味程度に少々の砂糖を加え、改良を重ね、現在の旨味のあるタレに辿りついたのだそうだ。
どの店にも歴史ありなのだ。いい話を聞かせていただき感謝でございます。夫婦で切り盛りする人情溢れる地元に愛されている鰻屋さんだ。
探訪日:2013.02
「鰻禅」
所在地:東京都墨田区吾妻橋3-6-18
営業時間:火・水・金11:00~16:00、土・日11:00~15:00
定休日:月・木
電話:03-3624-0475
・お店のホームページ
・食べログでのお店の詳細情報。
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