うなぎ屋さん探訪263~東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

うなぎは大好物である。

文人と鰻屋はよく語られることが多い。大正から昭和初期アララギ派を代表する歌人だった斎藤茂吉氏。医師であり、うなぎ好きとしても知られる。斎藤茂吉氏の日記に、頻繁に鰻を食べた記述が出てくるという。「午前中原稿があまり進まなかったが、うなぎを食る。午後になっていくらか原稿が進み夕食にまたうなぎを食べた。夜の10時ごろにはかなり原稿が進んだ」というような日記だ。さらには「茂吉と鰻」(短歌新聞社)では、斎藤茂吉氏の日記から鰻を食べた回数を調べ上げている、それによると902回だそうだ。そして注文するのは並か中だったのだそうだ。戦中の物資不足の時には、鰻の缶詰を買い込んで少しずつ食べていたとか、現在ではほとんど目にしない鰻の缶詰だが当時は明治屋や浜名湖食品などで販売されていた。

昭和11年(1936年)「暁紅」からの作品でこんな歌を詠んでいる。「あたたかき鰻を食ひてかへりくる道玄坂に月おし照れり」斎藤茂吉氏も贔屓にしていたと言われる名店、昭和初期の創業、現在三代目の道玄坂花菱さんを探訪する。

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

渋谷駅ハチ公前を後にして道玄坂を歩くこと3分ほどで平成元年に新築したという花菱に到着。入口はビルのちょっと奥になるが大きな看板も出ていて分かりやすい。

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

地下1階にテーブル席、座敷席がある。1階にもテーブルが2卓ほどあるが地下1階がメインの客席となるようだ。店内にはジャズが静かに流れる和風モダンの内装だ。

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

とりあえず瓶ビールをお願いする。肝焼きはすでに売り切れで残念。お通しには鯛の天ぷらのマリネ。そしてヒレ焼き、かぶと焼きをお願いする。ビールと鰻の串もので一杯、幸せな時間だ。ヒレ焼きは柔らかく甘辛ジューシー、かぶと焼きは崩れる骨感、濃いめのタレが合う。

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

お食事メニューは、花鰻重1800円より、うな重小2700円、中3300円、大4300円。うなぎは鹿児島産でグレードで鰻の大きさが違うとのこと。

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん


静岡県大井川のブランド鰻共水を取り扱っており共水鰻重は5200円。他にはうなぎまぶし、うなぎ雑炊、うまき、うざくがある。お刺身、焼き鳥やイカ焼きなど一品料理も揃っている。なんだか気が大きくなったのか大4300円をお願いする。

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

待つこと30分ほどでうな重登場。皮はやや厚め、皮下の脂もノリがよくボリューム感あり。身は厚め、フワッとトロける身だ。タレは程よい甘辛、やや甘くこくのあるタレだ。
ボリューム感のあるうなぎには、やや甘めのコクタレが合うようだ。ご飯の炊き加減もややかためで好み。ボリューム感のある鰻とコクのあるタレでご飯がすすむのだ。

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

東京都渋谷区道玄坂うなぎ「花菱」さん

花菱の創業者は岐阜の出身なのだそうだ、なるほど1階席に置いてあった、岐阜の宮内庁御用達の醤油、関ヶ原たまり醤油を発見して納得。この醤油の旨味はすごい。

斎藤茂吉氏が食していた当時は「共水うなぎ」は、まだなかった。並みか中を食したそうだが、それでも、ボリュームのあるうな重だったのだろうと勝手に想像する。

探訪日:2014.04

「花菱」
所在地:東京都渋谷区道玄坂2-16-7 花菱ビル 1F・B1
営業時間:11:30~15:00、17:00~22:00
定休日:日・祝日
電話:03-3461-2622

・お店のホームページ
https://www.hanabishi.tokyo/

・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13043505/

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