醤油のルーツは古代中国にあります。紀元前から大豆や小麦を発酵させて作られた「醤(ジャン)」が存在しており、これが日本に伝わったことで醤油の原型が生まれたといわれています。。醤は魚や肉を発酵させたものもあり、その中から植物性を中心とした大豆醤が進化し、日本独自の調味料へと発展していきました。

魚醬~能登の「いしる」と「よしる」
※日本三大魚醤は、秋田のしょっつる、香川のいかなご、能登のいしる、といろいろあるんですね。その中でも手に入りやすい、能登の「いしる」と「よしる」をお取り寄せしてみました。クセの強い醤油ですがそのクセにはまりそうです。鰻のタレとして使うのは難しいかもしれませんが、日本橋の「いづもや」さんでは魚醬を使った鰻料理を出しています。https://unatan.net/?p=10222
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湯浅醤油
鎌倉時代に中国で修行した僧侶たちが帰国し、味噌や醤油の製法を広めたことが大きな転機となります。和歌山県の湯浅町は、醤油発祥の地として知られており、味噌づくりの副産物として生まれた「たまり汁」が醤油の原点とされています。これにより、日本独自の製造技術が確立されていきました。

湯浅醤油
※湯浅醤油~日本における醤油発祥の地の一つとして知られる和歌山県有田郡湯浅町で作られる醤油。
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江戸時代に入ると、流通網(主に川を使った水運)の発達とともに醤油が全国へ普及しました。このころ、銚子や野田など関東の醤油産地が繁栄し、全国に出荷されるようになったことで、醤油は日本人の食生活に欠かせない存在へと成長しました。特に江戸(現在の東京)では、濃口醤油が主流となり、寿司や天ぷらといった江戸前料理の味を引き立てる調味料として欠かせない存在になりました。一方で関西地方では、素材の色や風味を活かす薄口醤油が重宝され、地域ごとに異なる醤油文化が根づいていきました。

現代の日本での醤油の種類は大きく分けると5種類の醤油があります。
1. 濃口醤油(こいくちしょうゆ)迷ったら濃口醤油を選べば大抵の料理に対応できる万能タイプ。(煮物、炒め物、照り焼き、刺身のつけ醤油など)
全体の約8割を占める最も一般的な醤油。色・香り・旨味のバランスが良い。
主な産地:千葉県や茨城県など関東地方。

2. 薄口醤油(うすくちしょうゆ)見た目を上品に仕上げたい料理に最適。(お吸い物、茶碗蒸し、だし巻き卵、京料理など)
色が淡く、塩分は濃口よりやや高め。素材の色を引き立てる。
主な産地:兵庫県や京都府など関西地方。
3. たまり醤油~旨味が強く照りも出るため、焼き物や漬け込み料理に向く。(刺身の漬け、照り焼き、焼きおにぎり、蒲焼など)
大豆を多く使い、小麦が少ないため濃厚でとろみがある。グルテンフリーの需要にも対応。
主な産地:愛知県を中心とした東海地方。

関ヶ原たまり
※関ヶ原醸造の関ヶ原たまり~関東地方の数件のうなぎ専門店の調理場でみかけた醤油です。甘草が含まれていて、タレにコクがあり旨味がありました。この気になる醤油をついに、お取り寄せしてみました。
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4. 白醤油(しろしょうゆ)素材の色を損なわないため、見た目の美しさを重視する料理で活躍。(茶碗蒸し、炊き込みご飯、白だしのベース、料亭料理。)
小麦を主原料とし、大豆が少ないため色が淡い。香りが軽やかで甘みがある。
主な産地:愛知県碧南市周辺。
5. 再仕込み醤油(さいしこみしょうゆ)濃厚で重厚感のある味わい。少量で料理を引き立てる。(高級刺身、ステーキ、寿司、特別な料理の仕上げ)
通常の醤油の代わりに生揚げ醤油を仕込み水として使用。深いコクと芳醇な香りが特徴。
主な産地:山口県や島根県など。
いまや醤油は国際的な広がりをみせています。明治以降、日本から世界へと輸出されるようになった醤油は、今ではアジアだけでなく欧米でも親しまれる調味料となりました。寿司やラーメンなど和食ブームの広がりとともに、健康的な発酵食品として注目を集め、国際的な需要は年々高まっています。
関東地方にもいまだに木樽で醸造している醤油蔵がいくつかあります。興味がありましたら覗いてみてください。
・(株)大橋醤油店(茨城県古河市)
https://ibaraki-syoyu.com/?page_id=276
・上ホ醤油(株)(茨城県筑西市)
https://www.s-shoyu.com/kura/zyoho
・山口信太郎商店(茨城県つくば市)
https://shouyu.e-tsukuba.jp/index.html
・坂巻醤油店(埼玉県桶川市)
https://www.tamajo.jp/
・近藤醸造(キッコーゴ)(東京都あきる野市)
https://kondojozo.com/
・井上醤油株式会社(神奈川県相模原市)
http://tuyukosan.com/
醤油についてもっと知りたいときはこちら。「職人醤油」さん


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