うなぎは大好物である。
京成線青砥駅北口から徒歩5分ほどのところに「青砥焼いづみ」さんがある。
店の外観はダークレトロな高級店的な店構え。暖簾をくぐるとさらにシックな内装に照明が落とされた重厚な雰囲気。BGMにはヒーリング系が静かに流れる。テーブルは6卓ほど、店の奥には座敷個室もあり。
メニューは3分の1の鰻がのる、うな丼(中)から一人前の並、上、特上などなどバリエーションが豊富。鰻の量と大きさによってグレードが変わる。他には昼限定のいづみ丼やうな玉丼、かき揚げ丼など平日限定の昼丼がある。迷った時は聞くのが一番。
女将さんのおススメとしては、一人前のうな重(並)うな重(上)とは鰻の大きさが違うとのこと。おススメの一人前のうな重(並)3500円をお願いする。メニューに出来上がりまでの時間の目安が書かれている。うな重は35分とある、おとなしく待つ。
メニューのファイルとともに、「青砥焼き」について書かれたファイルがあるので目を通す。青砥焼きとは、江戸時代から続く伝統技法であり注文を受けてから蒸し、明治初期から続く「百年だれ」に三度くぐらせジューシーに仕上げるとある。
青砥焼いづみのルーツは江戸後期にさかのぼり浅草花川戸の「伊豆屋」が始まりなのだそうだ。あの有名な1852年(嘉永5年)刊行の江戸前大蒲焼番付にも西の前頭として名を連ねている。
そして明治初期には日本橋馬喰横山に移転している。1891年(明治24年)当時の営業許可証を見せていただいた。また、明治時代の「蒲焼屋の番附」にも載っている。これらの資料はトイレに行く時の通路に掲示されているので興味がある方は見てみるとよいだろう。なかなか貴重なものだと思う。
諸事情により「伊豆屋」は閉店するが1959年(昭和44年)先代が青砥で「青砥焼いづみ」として再建。「伊豆屋」のお弟子さん達が「タレ」を守ってくれていたため「青砥焼いづみ」でも「伊豆屋」から伝承されたタレを使うことが出来たのだそうだ。「伊豆屋」の屋号にしなかったのは、先代が引き継げるだけの実力が無いという謙虚さから伊豆を借りて「いづみ」としたのだそうだ。現在の二代目店主とお話をすれば、先代の謙虚なお人柄も想像できる。
待つこと30分、うな重登場。
重箱の蓋の内側に半紙がかけられている重箱の内部の水分への気配りだ。
皮は薄くトロッ柔らかく、脂のノリもよい。
厚めの身はトロッとフワッとした食感で表面をサクッと仕上げてある。タレは、程よい醤油の香りと色は濃いめだが、濃すぎず味醂のきいたやや甘め。うなぎの旨味もひきたつ。ご飯の盛りもよく、こってりとボリューム感のあるうな重だがくどすぎない、元気系うな重だ。
物腰優しい大将と、気さくな女将さんのいる技術伝承の店「青砥焼いづみ」なのでございます。
探訪日:2015.10
「青砥焼いづみ」
所在地:東京都葛飾区青戸5-2-4
営業時間:11:15~14:30、17:15~22:00
定休日:不定休日曜日
電話:03-3603-4478
・お店のホームページ
・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/tokyo/A1324/A132403/13024185/