うなぎは大好物である。
茨城県の堺町。利根川沿いに店をかまえて3代目という荒井川魚店さんへ。店の隣に広い駐車場がある。昔、東武バスの停車場であり転回場だったそうだ。
この周辺はレトロな街並みが残りどこか落ち着く雰囲気だ。鮒甘露煮製造販売川魚荒井商店の看板も懐かしい感じだ。店内に入ると、ショーケースやテーブルがありやや雑然とした感じだが奥からは気さくな女将さんが対応してくれる。
ショーケースには、いなごの佃煮、鯉のうま煮、川エビの佃煮が並ぶ。鰻は一本2100円、日によって物によってお値段が変わるようだ。白焼きと、蒲焼をお願いする。これから蒲焼を蒸して焼くとのこと、おとなしく待つ。
もの静かなご主人と、若い人は息子さんだろうか。女将さんと昔話をしながら待つ。
私は嫁いできたからあんまり古いことは分からないけど、当時は利根川を使った水運が盛んでと語る女将さん。大正時代の写真が残る。そこには賑やかそうな街並みと、堤防の無い利根川が写っている。当時は堤防もなく利根川で鰻が採れたのだそうだ。鮒や鯉なんかもいて保存用として佃煮、甘露煮にするんだよ、と話す。
昭和の時代も人が多かったね、家の隣が東武バスの停車場で終点だったんだ、その時は人もたくさんいてね。テレビとか新聞とかにも出たんだよ、ヨネスケも来たよ。二階へ行く階段がある、昔はこの二階で出来立てのうな重を食べることができたのだそうだ。
今じゃねえ・・・人がいないもん。わざわざ、遠くから買いに来てくれるお客さんもいるけどね。ちょっと前まで、近くのスーパーにも卸してたんだけど人が少なくなっちゃってスーパーも潰れちゃったんだよ。
ちょっと切ない話、女将さんも遠くを見ながら話す。蒲焼が焼けたようだ。ラップをかぶせて、包装紙でくるんでくれる。
帰宅後はこれをツマミに一杯やりたい。なかなか肉厚の白焼きと蒲焼。温め直すのだが、いつもの、電子レンジのトースター機能で焼く。身側をワンラウンド、皮側をツーラウンド焼く。これはお好みだ、皮がパリッとしているのが好きだから。
白焼きからは脂がフツフツとしてくる。白焼きは、わさび醤油でいただく。醤油は先日の銚子のヒゲタの本膳。皮はパリパリ、身はジューシーな白焼きだ。
蒲焼にはタレと山椒がついてくる。こちらも薄めの皮はパリッとして身はふっくらととろける。女将さんの話を思い出しながらいただく。時代の移り変わりはハイスピードなのだろうが古くより栄えた街から人が消えて街も消えて、文化も消えて。
自宅で旨い鰻を食べようと思ったら川魚店に限る。頑張っていただきたいお店だ。購入希望の場合は、事前に電話で予約することをおすすめする。
探訪日:2015.08
「荒井川魚店」
所在地:茨城県猿島郡境町本船町1559
営業時間:8:30~19:00
定休日:火曜日
電話:0280-87-0465
・お店のホームページ
http://araikawazakanaten.web.fc2.com/
・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/ibaraki/A0806/A080601/8017549/