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うなぎ屋さん探訪325~東京都品川区「蒲焼双川」さん【閉店】

うなぎは大好物である。

東京で蒸さない蒲焼のお持ち帰りがあるという。ある人からの情報だ。東京で蒸さない地焼とは珍しい、興味がある。都内での打ち合わせの帰りに戸越銀座に寄る。

戸越銀座の交差点から大崎寄りに歩いて10分ほどの右手に蒲焼双川がある。戸越銀座商店街の端のあたりだ。いろいろなお店を眺めながら歩けば苦ではない。

黄色に黒文字で双川とある。そこには、うなぎ・貝るいと書いてある。初老の店主と女将さんが店頭でお客さんの対応をしている。

ショーケースには白焼きがいくつか並んでいる。一串1200円、1300円、1500円、1600円、1700円。うなぎの重量で値段が違うとのこと。しかし安い。なかなか刻みの細かい値段設定で悩む。なんとなく一番大きく見えた1600円にする。

女将さんが、白焼きを炭火で焼きはじめる。こちらの蒲焼は蒸さないのだそうだ。店主によると、養殖物は蒸しちゃうと柔らかくなりすぎちゃってねと。確かに養殖物は飼料なども改良されて柔らかく美味しくなった。もともと蒸すようになったのは天然鰻の時代だ。蒲焼の質感は各個人の好みだ。

看板にあったように貝るいも売っている。貝もみんな高くなちゃってねえと店主。蒲焼だってこの商店街じゃ値段上げられないのよ。いくら鰻が高騰って言ったってねえ、ウチは地域の店だから。

このノリで店主と女将さんとちょっとお話。この戸越銀座で昭和42年ごろから蒲焼と貝を売ってきた。創業48年となる。タレも48年だよと。毎日、裂いてるんだよと。手の裂きタコ、串うちのタコを見せてくれる。この先、俺が先か鰻が先かってなもんだ。なにをおっしゃいますか。

そんなやりとりしながら、店を後にする。女将さんが蒲焼包むとき遠いところからわざわざとタレが染みたらいけないと、ビニール袋を二重にしてくれた。こういう気遣いが嬉しい、お店の人と話をしながら買い物は楽しい。そして、蒲焼の袋を横にしないようにと言われたんだった。自分たちが、作ったものを出来るだけ美味しく頂いてほしいという思いが伝わってくる。そうだ、日本酒も買って帰ろう。

帰宅後、レンジのトースター機能でちょっと焼く。付けてくれたタレをかけいただく。家で食べる分には串が付いたままでもいいじゃないの。串はねじりながら抜くとよい。ちょっと焼き直したというのもあるが、皮はパリッと、身は柔らかい。プリッとやトロッとという感じではないが、ホクッと柔らかい。蒸していないだけに鰻の風味も凝縮されている。タレは甘辛辛めのややコクのあるあっさりしたタイプ。

蒲焼をツマミにチビチビやる、至福の時だ。
なかなかこのお値段で、この蒲焼はない。身の厚さも、お店で食べれば2500~3000円程度のもの。スーパーの鰻でも同じくらいの値段がする。自宅で鰻は専門店の蒲焼のお持ち帰りに限る。

店主と女将さんには、いつまでも元気で頑張っていただきたいなあ。

探訪日:2015.04

「蒲焼双川」残念ながら【閉店】
所在地:東京都品川区豊町1-5-5
定休日:火曜日

・お店のホームページ
・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131712/13081532/

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