うなぎは大好物である。
実は昼に大井町でうな重をいただき、その後午後から品川での会合で一杯飲んだ。なんとも中途半端な飲み加減な気分なのでなんとなく一人浅草へ、なんだか自分的には浅草が落ち着くのだ。
とりあえず雷門方面の初小川さんへ行くも、本日予約満席の張り紙があり残念。それじゃ、西浅草の「うなぎさんしょ」さんに行こうと。つくばエキスプレス浅草駅の公園六区交差点を入り、ちょっと歩くと、「うなぎさんしょ」さんがある。
紫に白字の暖簾をくぐる。テーブル4卓ほど、シンプル綺麗な店内だ。相撲の番付表や七福神の絵などあり、なんとも浅草らしい。入口近くに座ったのだが、女将さんが隣の席へと言う、ここはストーブの風が直接あたるからとのことだ。なるほど、直接風があたり温かい。店主と女将さん二人でお店を切り盛りしているようだ。
メニューはシンプル。うな重は、もみじ2600円より。いちょう3400円、うめ4200円、グレードで鰻の大きさと量が違うとのこと。他にはとり重、柳川定食、鰻ぞうすいなどがある。いや、食事をしにきたのではない。肝焼きとお酒熱燗をお願いする。
外は冷たい小雨が降っている。熱燗が冷えた身体を温めてくれる。お酒は甘めだ、もうちょっと辛めが好みだが。10分ほどで肝焼き登場。このほろにが、甘辛のタレがあ酒に合うのだ。
肝焼きをちびちび食べながら、冷酒をお願いする。上田酒造の嬉長(きちょう)奈良は生駒のお酒だ。くだりものだねえ。さきほどよりは辛めなのだが、甘辛中間くらいか。店主は甘党なのだろうか。
さて、シメにうな重でもと、うな重もみじをお願いする。冷酒ももう一本お願いしてしまう。蒸しあがった鰻を本焼き、ピンセットで小骨を抜いているのが見える。作務衣姿の店主の作業を見ながら待つのは楽しい。この作務衣いいなあと思いながらちびちびやる。
しばらくしてうな重登場。皮は薄いが皮下の脂のノリよい。身はやや厚め、トロッとする身だ。半身ながら脂のノリも良く、ボリューム感を感じる。タレは場所柄、醤油系のあっさり辛めかと思ったのだが、醤油系あっさりやや甘目でコクのあるタレだ。御飯と蒲焼のバランスも良し。白菜の漬物がなんとも旨い、さらに酒がすすんでしまう。
店主の仕事もひと段落したようで、漬物が旨いと伝えたところ、自家製なのだそうだ。
白菜と一緒に盛られた大根はビール漬けなのだと女将さんが自慢げに語る。このあたりから呑兵衛は話し込んでしまうわけで。
さらに、メニューにあるそらまめをお願いした、すると蒸したてのそら豆がでてくるのだ。アツアツで程よい塩加減のそらまめは、さらに酒を進める。
調理場の中にあるうなぎさんしょの名刺絵は、春風亭正太郎さんが描いてくれたものだそうだ。そして店内に飾られた、春風亭正太郎さんが描いた、店主と女将さんの似顔絵がなんとも雰囲気をよくとらえている。
「うなぎさんしょ」さんの創業は1985年(昭和60年)店主は千住のうなぎ問屋で働いていたという。先日伺った駒込のつぐみ庵さんもご存じだった。ご夫婦ともに東北のご出身、なるほど、浅草の江戸っ子気風の老舗とはまた違った雰囲気なわけだ。お二人ともお酒をやらないという。酒のセレクトは酒屋に相談しているという、なるほどだから甘めなわけだ。
浅草という場所柄おもしろいお話もたくさん聞かせてもらった。また、女将さんがおもしろ楽しく話をしてくれるのだ。ある外国人の団体さんから予約の電話があり、4卓の店に
観光バス二台が到着したとか、いろいろなエピソードを話してくれた。
店主と女将さんと話をしているところに、ご近所の常連さんが食べに来た、私もご挨拶させていただく。浅草には老舗がたくさんあるけど、ウチではうなぎはここに食べに来るんですと話す。こういうのが下町の人情物語が垣間見れる。
ご夫婦仲良く、気分よくいただける、あたたかい鰻屋さんでございます。これだけ飲んでたべてお会計6150円、これまた嬉しいのでございます。結局、自慢の京都産の山椒は使うことはなかったのだが、それだけ臭みがなく鮮度がよいということだろう。蒲焼と山椒の相性もよいので、こだわりの山椒をパッとひとふりしてみてもかったかなあ。
ほろ酔い気分で気が大きくなり、この後またひっかかってしまうのであります。
探訪日:2014.03
「浅草 うなぎ さんしょ」
所在地:東京都台東区西浅草2-25-7
営業時間:11:30~14:00、16:00~19:30
定休日:水・木曜日
電話:03-3843-0344
・お店のホームページ
・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13047052/