うなぎは大好物である。
実は二軒目だったりする。ちょっと飲み足りないよねと言いながらはしご酒をするようになるとダメだよねえ。好きな酒の肴でもうちょっと一杯だけ飲みたいんですよ。
そんなことで新宿思い出横丁。エアコンの効いた店内でまた生ビールからスタートという気分ではない。蒸し暑いなかでもいいからもうちょっとだけ飲みたいのだ。
うなぎを酒の肴に飲ませてくれる店、新宿カブト。創業は1948年(昭和28年)。戦後の闇市からの名残が残るこの一角。学生時代にはよくお世話になった。友人と終電過ぎまで飲んでしまったとか、彼女を連れてきて、ひかれたとか、まあ、いろいろな思い出がよみがえってくる。
さて、うなぎの専門店カブト。コの字型のカウンター席は満席だ。席の後ろに立って待っているお客さんまでいる。横町を一回りして戻るとちょうど2席空いたところだ、運がいい。横町散歩で汗ばんだところで瓶ビールで一杯、キリンラガー。
メニューは煤で汚れた壁に貼ってあるのだが、女将さんがひと通りでいい?というので
ここも素直に、ひと通りでお願いする。えり焼、ひれ焼、ひと口蒲焼、れば焼、きも焼は残念ながら売切れのようだ。二軒目ともなると詳しい値段まで気にしていられない。というか、こういう雰囲気になると、宵越しの銭は持たねえ的な大きな気持ちになってしまう。
まずは、えり焼が出てくる。頭の後ろあたりの部位、蒸さずに焼いているようだ。
少々骨っぽい感じは残るがカブトをくだいたような食感だ。
ひれ焼、ほどよい焼き加減で、シャリシャリ感とジューシー感と甘辛あっさりめのタレでいただく。
ひと口蒲焼、これは嬉しい。やや肉厚の柔らかな身、ふっくらした身にあっさりめのタレが合う。うな重のような蒲焼とは違って、串をもってひょいと口に入れる。そして一杯。
こういうのが呑兵衛には嬉しかったりする。蒸し暑い夜の2軒目としてはなかなか良い選択。カウンター内は煙と熱気のなかタレツボにどぶ付して、どんどん焼いていく。女将さんも酒の面倒を見てくれる。
カウンター席も熱い、ろれつの回らない隣のお客さん。かなりご機嫌に熱く語っている。人生劇場だ。外は蒸し暑いのだがカウンター内の熱気と瓶ビールでなんだかいつのまにか慣れて汗もひいていたりする。
カウンターに載っている黄金色の醤油さしが気になる。これには梅シロップが入っていて、焼酎に入れて飲むのだそうだ。いい感じで酔っぱらってきたので焼酎までは手を出さずにお勘定。二人で4000円弱。うなぎで飲んでこのお値段。ここはサクッと飲んで食べて引き上げる。こういうのが粋なんでしょうね。
大人ですから終電のあるうちに帰るのだ。
探訪日:2013.06
「カブト」
所在地:東京都新宿区西新宿1-2-11 思い出横丁
営業時間:13:00~20:00
定休日:日・祝日
電話:03-3342-7671
・お店のホームページ
http://shinjuku-omoide.com/shop/kabuto/index.html
・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13006700/