うなぎは大好物である。
創業は1789年~1800年(寛政年間)。徳川将軍は第十一代家斉の時代だ。当時は「奴鰻」という店名で現在とほぼ変わらぬ、浅草田原町で変わらぬ場所で営業をしていたようだ。
当時は浅草寺の参拝客でにぎわった様子が、『江戸買物独案内』1824年(文政7年)に「奴鰻」と記されている。また『江戸前大蒲焼番付』1852年(嘉永5年)にも、西の前頭筆頭として紹介されている。他にも夏目漱石などの文学にも「奴鰻」として登場する。東京都台東区「やっ古」さんを探訪する。
浅草駅から雷門通りを雷門方面へ歩く。賑わっている雷門前を通り過ぎ、いくつかの老舗飲食店を通り過ぎ、T字路の田原町交差点に鰻田原町「やっ古」さんがある。
大型の木製看板に蒲焼やっ古とある。店頭にはメニューも出ていて値段を確認することができる。店内に入ると和服姿の女将さんに出迎えられる。おひとり様なので二人用のテーブルに座ろうとすると、4人用のテーブルに案内される。
一階はテーブル席、10卓ほどあるだろうか、他に個室和室や広間もあるようだ。内装、調度品は大正ロマンの雰囲気。広々とのんびりとした空間だ。
メニューはうな重椿2400円、梅2780円、桜3600円、桐5300円とある。グレードで鰻の量と大きさが違うとのこと。この桐などは鰻2尾分の蒲焼のお重となるのだそうだ。他にはうな重にデザートなどがついた、うな重定食や、会席料理のコース、一品料理も充実している。肝吸いが苦手な方は、なめこの味噌汁も選ぶことができる。人気があるという、梅2,780円で肝吸いをお願いする。
店員さんは和服にエプロン姿、これがまた大正時代的な雰囲気を盛り上げてくれる。
待つこと5分、うな重登場。皮、身とも柔らかく、ホクッとした身だ。身の厚さは普通。
タレは醤油系控え目、身に程よくタレが染み込んでいる。身の脂はしっかりと落とされあっさりした蒲焼だ。ご飯の炊き加減が硬めで好み。漬物には奈良漬が入る。ちょっと山椒をかけていただく、ピリッと舌がしびれる山椒でスパイシー。
お客さんの年齢層はやや高め。古くからの常連のお客さんが多いようだ。地元地域の情報交換をしている。会計時、女将さんが「今日は一番寒いみたいねえ」と。そういった一言も忘れない。
店を出て、地下鉄田原町駅方面へ歩く地下鉄の入口周辺には仏具店が並ぶ。江戸時代には、現在の上野駅前周辺地域を仏店(ほとけだな)といったそうだ。その名残がここに残っている。
探訪日:2013.02
「やっ古」
所在地:東京都台東区浅草1-10-2
営業時間:11:30~20:00
定休日:水曜日
電話:03-3841-9886
・お店のホームページ
http://www.asakusa-unagi.com/
・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13016652/