うなぎは大好物である。
太田の野沢屋さんに行ってみませんかと、うなぎ仲間のnovi氏からお誘いをいただく。東武伊勢崎線太田駅北口に降りる。立派な駅前ロータリーだ。ロータリーの左奥にアーケード商店街が見える。商店街と言ってもいわゆるシャッター商店街化している。うなぎののぼりと、大きな手書きのPOPが見える。ちょっと遠巻きに店構えを見てしまう、初めてでは近寄りがたい雰囲気だ。群馬県太田市「野沢屋 本店」さんを探訪する。
まもなく、novi氏と合流しお店に向かう。店頭には鰻の入った大きな生簀とまな板?店内に入ると、寒いなかようこそと元気よく迎えられる。中心の通路には大きな水槽と長テーブル両脇に小上がりテーブルは8卓ほど。
ビールにするかい?とりあえずお茶を。
座る間もなく興味は店頭の生簀に。寒いからか鰻もおとなしくしているようだ。あの七輪は何に使うのかな?
おお、ちょっと待ってな。なんていうやりとりをしながら、生簀から鰻を取り出し、店頭のまな板で捌きはじめる。
商店街の店頭で鰻の解体ショーが始まる、といっても通行人はいないのだが。
店横には古井戸のポンプなんかがあったりする、その路地には鰻の匂いを嗅ぎつけた猫が寄ってくる。なんともシュールな光景を楽しませてもらっている。
そして裂いた生の鰻の皿とともに店内に入る、卓上の七輪に火が入れられ焼き方の指導が始まる。皮から焼くんだ、20秒くらい焼いて、タレの付け焼きしてな、焼き加減はお好みで。
タレには一味が少々入っており独特だ。自ら自分でいただく鰻を焼く、これは楽しい。
頃合いを見て、アツアツの鰻の身を食べてみる。ブリブリの地焼の感触と鰻独特のコク。
地焼きは好きで、なにかと食べているが、こんなブリブリな鰻は食べたことがない。というか、焼いているのは自分なんだが。一味の効いたタレでビールが飲みたくなる。電車で来て正解だ。箸休めのお通しには、ちょっとしたツマミが皿に盛られる。
弱火でじっくり焼くものかと思ったのだが、炎で焼くのだという。カブト、肝を焼いてみる。肝はサッと焼いてな、カブトはよく焼いてよと店主。こちらの様子をうかがいながら、うな重を作っている。言うとおりカブトはしっかり焼く。骨っぽさは残るが、柔らかくなるカブト。肝、サッと焼いてと言っていたがよく焼く。
焼に夢中になっているころに、うな重登場。ご飯は少なめでとお願いしてある。同じ地焼きの蒲焼なのだが焼いたのは店主だ。自分で焼いた鰻とは違う、ふんわりプリッとした鰻だ。タレに一味は入らない、甘辛濃いめのタレだ。焼は一生って言うこのなのだろう。やっぱり奥が深い。
なんどもウチに来て自分で焼いてるうちに、こうやったら旨くなるって分かってくるんだよ、と。ホロい酔い気味のなか焼をマスターしたくなってくる。
店主も一仕事終えて、いろいろお話をさせていただく。館林からの経緯とか、自分が店主を継いだ時の話とか、遊んだ話とか、孫のこととか、英語のこととか?他にお客さんがいないことをいいことに、3時間以上は店にいたことになる。70才を過ぎているという店主、いい顔しているなあ。
好きな人は一度自分で焼いてみるとよいかと。うな重とはこういうものだと固定概念のある方や、上品なうな重を求める方にはおすすめはしない。好奇心旺盛なうなぎ好きには、たいへん楽しいお店である。おもしろいお店を教えてくれたnovi氏に感謝だ。
探訪日:2013.01
「野沢屋 本店」
所在地:群馬県太田市東本町22-6
営業時間:11:00~14:00
定休日:不定休
電話:0276-22-3155
・お店のホームページ
・食べログでのお店の詳細情報。
https://tabelog.com/gunma/A1002/A100203/10006851/